スノー・ラヴァーズ


近づいてみると、家があった。
外観は可愛らしく、木で作られた暖かそうな家だ。
こんな深い森に人が住んでいるというのは信じがたいが、煙りはまだ上がっている。


コンコン…


ドロップは軽く扉をノックした。
…が反応はない。


ゴンゴン…


これでどうだと言わんばかりに強めに叩いても反応はない。


「どなたかいませんかー!?」

しびれを切らしたドロップは大声を上げた。


「あ、ごめんごめん、今行くよー。」

「え……?」

突然声がしたので、気になって上を見上げると屋根の上に薄紫色の頭が少し見える。

一瞬、薄紫色の頭が消え、一人の青年がスルスルと屋根から降りてきた。


「いらっしゃい。」


彼は彼女の前に立って、笑顔でそう言った。


(…いらっしゃいと言われても……。)


一瞬ドロップは戸惑った。
普通…こんな森の中で突然出逢った相手にいらっしゃいと言う人はいない。
ひょろっとしていて強くはなさそうなので何かあっても大丈夫そうだが……。
思わず不安になる。

それでも今は野宿を避けるためには泊めてもらうしか方法はない。

究極の選択…というやつだろうか?


(……どうしよう。)


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