スノー・ラヴァーズ


(…ドロップ遅いな…。)

「あ……っ。もしかして?」


リムは慌ててトイレに走って行った。
ガンッと扉を開けるとそこにドロップはいなかった。

何かあった時の為、この家にはたくさんの仕掛けを作ってあった。
ドロップはおそらくその仕掛けを見つけ抜け出したのだろう。
簡単には見つけられないはずだったのだが…。


(…これだから彼女は…。アイツに怒られるかな…。)


まだ遠くまでは行っていないだろう。
隠し扉に念の為付けてあるタイマーはまだあまり時間が経っていなかった。


さすがに、ここまで先読みしていなかったリムは、仕方なくドロップを追う為に出掛ける支度を始めた。


      ***


「…痛い。」

ドロップは少し前、見事脱走に成功した。
が…痛みを訴えていた。
まさか壁を叩いて本当に開くとは思っていなかったが突然開いて思いっ切りぶつけていた。


(隠し扉とか…どんな家よ……。)


結局、野宿が確定してしまったドロップはまた森を歩き出した。


< 30 / 127 >

この作品をシェア

pagetop