スノー・ラヴァーズ
「ドロップったら逃げなくてもいいのに。」
とクスクス笑顔で言う彼に対し、彼女は固まってしまう。
逃げてきた相手に見つけられてしまうなんて…
逃げてきた意味がない。
しかも、誰にも見つからないように木の上にいたはずなのに、どうして彼は解ったんだろうか?
見つかった理由はどうであれ、わざわざドロップを追って来たとあればやはり狙いはスノー・ラヴァーズかもしれない。
ドロップは警戒しながら立ち上がり、リムと向かい合った。
「な、何か用ですか?」
ドロップは精一杯強がってリムに言葉を発していた。
ここで弱いところを見せるわけにはいかない。
相手は敵になるかもしれないのだ。
「ブロッサム・ラヴァーズ探してるんでしょ?俺、知ってるよ。ブロッサム・ラヴァーズに詳しい奴。」
「え…っ?」
「さ、行こうか?こっちだよ。」
(…今なんて…?え?)
リムは笑顔でそれだけ言うと、すでにさらに森の奥へ向かっていた。
ドロップは耳を疑った。
旅を始めてからずっと特に手がかりはなく、スノー・ラヴァーズの指す方向に歩いてきた。
それでもまだたどり着いてはいない。
リムが敵か味方かは解らないが、手がかりは欲しい。
ドロップは彼の後ろを着いていくことに決めた。
二人はさらに森の奥へと進んで行った。