スノー・ラヴァーズ
「ねぇ、リム…さん。どこまで行くの?」
「リムでいいよ。あとちょっと、たぶん。」
(…たぶんって……。)
二人は森の中をサクサクと進み続けていた。
横にいたはずの太陽はいつの間にか頭の上にある。
ドロップは歩くのが疲れたわけではないが少々不安になっていた。
リムは急にピタッと止まり空を仰いだ。
「…あぁ、そうか。お昼にしようか?」
そう言いながら彼は彼女に笑顔を向けた。
…そういうことではなく。
と言いかけてドロップは止めた。
何を言ってもきっと無駄だろう…彼の笑顔はそんな風に見えた。
リムは楽しそうにご飯の支度を始めていた。
サッと釜戸を作り、火を付け、何処から出したのか解らない鍋と材料を取り出していた。
「あ、ドロップ、さっき近くに小さな川があったよね?水汲んできて。」
「え、あ、はい。」
バケツをズイッと渡されては断ることも出来ない。
もちろん川の場所も覚えている。
ドロップは仕方なく小さな川へ水を汲みに向かった。