スノー・ラヴァーズ
少し歩くと小さな川に着いた。
川は透き通り、下にある石が見える。
それから、何か魚が泳いでいる。
さすがは深い森。
人の手も入らず、澄んだ綺麗な川だとドロップは思った。
「よいしょっと。」
持ってきたバケツを傾け、水を汲む。
水を汲みながら、水にお日様の光が反射してキラキラ光っているのを見て、彼女は何か不思議な気持ちになっていた。
前にもこの光景を誰かと一緒に見ていたような…そんな気がしていた。
*
「水、汲んできたよ。」
「あ、ありがとう。そこ置いといて。」
水を汲んで戻るとすでにいい香りが辺りに充満している。
鍋からはグツグツいい音も聞こえて来る。
すでに出来上がっているところを見ると川の水は必要だったのか、疑問にはなる。
…が、それを忘れるほど美味しそうな香りがしていた。
「美味しそう…。」
「美味しいに決まってるじゃない。はい、どうぞ。」
「ありがとう。いただきます。」
ドロップは笑顔のリムから器を受け取りイロイロと入ったスープを口にした。
何が入っているか解らないが、何とも言えない幸せが口の中に広がっていく。
初めてなのに懐かしい、そんな味だった。
「美味しい!!」
「だから当たり前だって。」
そう言いながら、なんとなく嬉しそうにリムも食べ始めていた。