スノー・ラヴァーズ
腹ごしらえを済ませ、二人はまた森の中を進んでいた。
ドロップはリムを完全に信用したわけではなかった。
けれど、彼が最初に見せた嫌な笑顔を今は一度もしていない。
それがなんとなく彼女を安心させていた。
「………?!」
前を歩いていたリムが突然止まっていた。
「どうかしたの?」
「んー。ドロップ走れる?」
「え?」
瞬間。
突然の事に戸惑うドロップの手を引き、リムは走り出していた。
―…ザクッ!!
逃げなかったらドロップに刺さっていただろう。
彼女が歩いていたところには弓矢が刺さっていた。
「逃げられたぞ!!」
「追えーっ!!」
「あっちだーっ!!」
数十人だろうか?
男達の声が森の中に響き渡った。
「な…なんで…?」
「見つかっちゃったねー。まぁ大丈夫、大丈夫。想定内だから。」
戸惑うドロップにリムは涼しい声で告げ、走り続けていた。