スノー・ラヴァーズ


「ドロップ木登り得意だよね?」

「で…できる…けど…?」


先程からかなり走っているはずなのにリムは息すら切れていない。
人は見かけによらないとはよく言ったものだ。
ドロップも体力には多少自信があるはずだが、さすがに息を切らしていた。

距離も距離だが何よりスピードが速かったせいか、さっきの男達はまだ追いついて来ていない。


「良かった。じゃ、これ登って。上に休むとこあるから。」

「これ…って……?」


目の前にあるのは大きな木。
この森は大きな木が多いが、これは中でも大きいものだろう。
こんな木に登れたことなんて彼女の記憶にはなかった。


「あ、やっぱりさすがに無理か?」

仕方がないなぁ…と言いながらリムは縄を取り出し木の上に投げ、引っ掛けた。
引っ張って確実に掛かっていることを確認すると笑顔でドロップに縄を差し出した。


「はい。」

「…ありがとう。」


最初から出してくれても…と思いながらも、その縄を頼りにドロップは木の上まで上がって行った。
上がったことを確認し、リムもサッと後を追って行った。


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