スノー・ラヴァーズ

+泣き虫の落とし物+


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「いらっしゃい、いらっしゃーい!」


「市場なんて久しぶりだね。」

三人は市場を歩く。

市場といっても大きくはなく、小さめの旅商人が集まって出来たものらしい。

店の数は少ないが、珍しいものが並んでいる。


「よ!そこのお嬢さん!」

元気のいい商人がドロップを捕まえる。


「このペンダントはどう?涙みたいで綺麗だよ!」

「え…あの…。」

「見るだけ!見るだけ!!」


ズイッと渡されたペンダントは綺麗な水色をしていた。


「きれー。」

「だろ?!これには言い伝えもあるんだ。」

「言い伝え?」

「むかーし、泣き虫なお姫様がいて、そのお姫様が恋をして幸せになって、泣き虫じゃなくなった。が、相手の王子が不幸なことに死んじまってな。それを哀しんで100日も泣き続け、その涙で作られたんだと。」

「へぇー…」


感動するドロップに対し…


「嘘くさい。」

「フォールに賛成するわけじゃないけど嘘っぽいね。」


二人の厳しい言葉。


「そうかなぁ?本当に涙みたいな色、してるのに…。」


       *


「で、結局買っちゃったんだ?」


別行動を終えた後、ペンダントを手にしたドロップにリムは笑顔で言う。


「えへへ…。」

「バカみたい…。」


嬉しそうなドロップにピシッとフォールの一言。


「フォールそこまで言わなくても…。」


と、リムもフォロー。


「そうよ…だいたい………」

「んな……はぁ……?!」

「…!……。」


そのまま言い合いを繰り返しながら三人は歩いて行った。


泣き虫姫の落とし物。
言い伝えは嘘か真か。


今はうるさい三人の手の中に…。


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