スノー・ラヴァーズ
「さてと。今日はここで休もう。追ってきた人達も諦めるでしょ。」
リムはお茶をカップに注ぎながら笑顔を見せた。
「あの人達は何故追ってきたんだろう…?」
「え…?」
ドロップの言葉にリムは驚いていた。
「何にも知らないの?今までは大丈夫だったの?」
「…何もって?…今までは追いかけられたことなかったけど…。」
何をそんなに驚くのか…ドロップには解らなかった。
思わず自信がないように応えてしまうが本当のことだった。
「………。」
(そうだった…『彼女』はそういう事だけには勘がいいんだった。)
昔から先読みするわけではないのに危険から逃げてみたり、知らない道を見つけたり。
スノー・ラヴァーズのせいなのか、彼女の能力なのか…それは先読みよりも正確だった。
リムは一人で納得している様子だが、ドロップにはまったく解らない。
特殊な能力というものは本人からすると普通だったりもする。
それに鈍感なのだから気づくこともないのだろう。
「じゃあ、ドロップの為に少し昔話をしようか。」
「昔話…?」
「そう。その石の話。」
そう言いながらドロップの胸元にあるペンダントを指した。
「追われたことに関係あるの?」
「たぶんね。」
「うん。知りたい。」
どうしてリムが知っているのか、話してくれるのか、それは解らない。
それでも。
聞かなければならない。
そんな声が心のどこかで聞こえた気がした。