スノー・ラヴァーズ
「昔々、一人のお姫様がいたんだ。」
「え?お姫様?」
「そう。お姫様。」
石の話とは違うことを不思議に思うドロップに、リムは大丈夫と言わんばかりの笑顔で答える。
「綺麗な人なんだけど、悪戯ばかりするもんだから、困り果てた王様は護衛を付けた。」
「お姫様が悪戯って…。」
「ふふ。そう思うでしょ?だけどそれは表向きな理由だった。」
「……?」
ドロップには一瞬、リムの目が鋭く見えた気がした。
何かを許せないような…そんな目。
それはほんの一瞬で、次の瞬間にはよく見る笑顔に変わっていた。
「確かにじゃじゃ馬姫だけど…それくらいじゃ護衛はいらない。本当はお姫様が持っていた¨力のある石¨が狙われていたんだ。その為の護衛だった。」
力のある石と言われ、ドロップは思わず胸元にあるペンダントを見た。
「そう、正解。力のある石って、そのスノー・ラヴァーズなんだ。」
これに何か力があるの?とは聞かなかった。
どんな力か説明は出来ないが、不思議な力があるのはドロップも知っていた。
「…しかも石と石は引き合ってしまう。だからかな、選ばれた護衛はブロッサム・ラヴァーズを持っていたんだ。力のある石が2つ。そして哀しい争いが起きてしまったんだ…。」
「……。」
「昔の話をどこで知ったのかは解らないけど…だから今日ドロップは狙われたんだと思うよ。」