スノー・ラヴァーズ
ドロップは今の話を知っていた。
リムの話した昔話は、いつも夢で見る話と同じだった。
けれど、この話はただの夢。
どこに書かれているわけでもなかった。
だから知っている人なんていないはずだった。
「…その話、どうしてあなたは知ってるの?」
「え?」
「あれは…本当にあったことなの?」
ドロップは戸惑いもあったが、真剣だった。
それが本当のことならば、ドロップには何かやらなければならないことがある。
今は¨何か¨までは解らないが、そう感じた。
あの夢はその為だ…と。
ドロップの瞳は真っ直ぐにリムを見つめていた。
「本当のことだよ。俺は…その争いを見ていて、何にも出来なかった読書家から聞いたんだ。」
気のせいかもしれない。
リムは少し哀しいそうな顔をしていた。
¨聞いた¨と言うことには何となく違和感があったものの、その顔がドロップの敵ではないことを証明していた。