スノー・ラヴァーズ
「たぶんこの辺りの木の上にいると思うんだけど…。」
あれからしばらく歩き、リムは木の上を見上げていた。
「木の…上……?」
思わずドロップも木を見上げていた。
まさか木の上なんて…
と、木の中にある部屋を見ていなければ言っていたに違いない。
それでも、なぜ木の上ばかり…とドロップは思っていた。
「この辺りが怪しいかな…?えいっ。」
ドォーーーオオンッ!!!!
掛け声は可愛らしくも聞こえたが、リムは軽々と大きな木を蹴り倒していた。
「…あれ?いない?」
リムは倒した木から人影が現れず、不思議そうな顔をしていた。
その様子を見て、人が居る・居ないよりも、自分の時は木を蹴り倒されなくて良かった…とドロップは思っていた。
「…あれ?じゃない……。」
「え?」
「あ!」
突然、リムでもなくドロップでもない声がして、二人が振り向くとそこには人がいた。
肩は超えるであろう黒い髪を一つに束ねた不機嫌そうな男が腕組みをしていた。
彼を見た瞬間。
ドロップは頬に一瞬懐かしい風が触れた、そんな気がしていた。