スノー・ラヴァーズ
朝日が木の隙間から零れてきて、ドロップは目を覚ます。
―…コンコンッ。
『ドロップ、起きた?』
ドア越しにリムの声が聞こえて来る。
夢を見た後はいつも少しだけ戸惑う。
どちらが現実なのか、自分は誰なのか。
夢が懐かしい気がするからなのだろうか?
…―ガチャッ。
「おはよう、ドロップ。よく眠れた?みたいだね。」
「おはよう…うん、大丈夫。」
扉を開けるとリムの笑顔があった。
下から少しだけイイ匂いもして来る。
「朝ごはん用意してあるから、鏡を見て、支度ができたら下においで。」
「うん。ありがとう。」
ドロップの笑顔にリムは納得したように頷き、下へ降りて行った。
寝起きだった彼女の頭は次第に動き出す。
(……鏡?)
「あ…っ!!」
慌てて鏡の前に行くと、ドロップの髪は色んな方向へ自由に跳ね上がっていた。
リムの笑顔はこのせいでもあったのだろう。
ドロップは声にならない悲鳴を上げ、次からは…と思うしかなかった。
出来るかぎり早く整え、下へ降りて行った。