スノー・ラヴァーズ
旅立ち
「私が最初にスノー・ラヴァーズを両親からもらったのは5歳の時。あの時は何だか解らくて。だけどあの日、村は無くなった…。」
突然な言葉に思わずリムもフォールも手を止め、ドロップを見た。
彼女はその時の話をゆっくり思い出すように語りはじめた。
*
ドロップの住んでいた村は¨朝〈アスブイ〉の村¨と呼ばれていた。
そこは、住んでいる人が20人程の小さな村で、森の奥にあり、旅の商人も立ち寄ることはなかった。
村の周りの森には動物達が住み、自然に囲まれた綺麗で豊かな所だった。
その日はすごく綺麗に晴れた青空で、いつもと変わらない朝のはずだった。
両親は朝から少しだけ哀しい顔をしている。
理由は解らないが、ドロップはなんとなくそう感じていた。
そして突然母親から、白い石のペンダントを首にかけられた。
「これ…なぁに…?」
「お守りよ。」
「おまもり…?」
「スノー・ラヴァーズ。いつかお前を大好きだった人の所へ連れていってくれるお守りだ。」
母親も父親もお守りだという綺麗な白い石。
優しく光っているようにも見えた。
ドロップは不思議そうに、ペンダントと母親と父親を順番に眺めた。