スノー・ラヴァーズ


それからドロップは夜〈ブシク〉の村で暮らす事になった。
もちろん、夜〈ブシク〉の村の人達はドロップを快く迎えてくれた。

夜〈ブシク〉の村も、朝〈アスブイ〉の村と同じで、周りは深い森に囲まれた小さな村だった。
この村にも旅人や商人は訪れなかった。


       *


「スノー・ラヴァーズはその日から持ってたの。」

ドロップはスノー・ラヴァーズを眺めた。

「じゃあ、その日からブロッサム・ラヴァーズを探してたの?」

リムが尋ねるとドロップは首を横に振る。

「ううん。…その時はまだ…もうひとつ石がある事なんて知らなかったから。」

「そうなんだ?」

リムは首を傾げた。
なぜならば、彼はドロップの話を聴いて、きっと石を引き継ぐ時に全てを知ったのだろうと思っていた。


ドロップはリムとフォールを見て、スノー・ラヴァーズについて、正直に話していいのかを悩んでいた。

もちろん、二人を疑っているわけではない。
疑っていれば最初から話を始めたりはしない。

ドロップにも理由は解らないけれど…

¨二人は大丈夫¨

…そんな気がしていた。


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