スノー・ラヴァーズ
「ドロップ?」
リムはいつのまにか俯き加減になっていたドロップに気が付き、声をかけた。
「え?」
声をかけられて、ドロップがパッと顔を上げると二人と目が合った。
「どうかしたの?大丈夫?」
フォールは目が合うとすぐに顔を逸らしたが、リムは心配そうにドロップを覗き込んでいた。
ドロップは何だかそれが¨懐かしい¨…そう思った。
「ごめんね、大丈夫。」
ドロップは二人に向けて笑顔を作る。
不思議なことに、笑顔を作ることも懐かしい…と彼女は思う。
「…私がスノー・ラヴァーズの事を詳しく知ったのは…夜〈ブシク〉の村の言い伝えなの。」
ドロップは二人に¨嘘¨をついた。
本当はドロップがスノー・ラヴァーズの事を知ったのは夢の中。
それを二人に話すかどうか、迷っていたのだが…今は二人に話さない事を決めた。
二人なら大丈夫。
そんな気もするのに、理由は解らないけれど、¨誰か¨に止められたような気がした。
「言い伝え?」
リムはまた首を傾げた。
「うん。夜〈ブシク〉の村に伝わる話。クレスおばあちゃんが教えてくれたの。」
「どんな話なの?」