スノー・ラヴァーズ


「…ごめんなさい。村の人にしか話しちゃいけない決まりなの。」

「どうしても?」

「うん。」

「そう…。」

ドロップの答えにリムは残念そうに答えた。
その顔に胸が少しだけチクッと痛んだものの、ドロップは話す気にはならなかった。

¨言い伝えは村の人以外に話してはいけない。¨

この決まりに、まじないはかかっていないから話すこともできた。
けれど…それはクレスとの最後の約束だった。

「まぁいいや。」
(…いつか聞き出すから。)

リムは仕方がない、と言うように笑顔で溜息をついた。

「それで?スノー・ラヴァーズのことを知って、ブロッサム・ラヴァーズを探し始めたの?」

「うん。その言い伝えが本物だって知ったから…。」

リムに答えたドロップは、どこか遠くを見つめていた。


「…あ。ごめん。なんか答えになってないよね。」

リムの視線に気付き、ドロップはハッとして、また笑顔を作った。

「ううん。ありがとう。」

リムもドロップに笑顔を見せた。


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