スノー・ラヴァーズ
しばらくの間、ドロップとフォールは視線を合わせたまま、沈黙の時間を作っていた。
どれくらい時間が経ったのだろう?
そんな気さえする二人の沈黙。
それを破ったのはドロップだった。
「…解りました。ありがとうございます。」
彼女はフォールにそう言って笑顔を見せる。
その笑顔は…昔のあの笑顔にも似ていた。
ドロップはクルッとリムに振り向き、その笑顔のままペコンとお辞儀をした。
そして二人に背を向け、歩き出そうと一歩踏み出した時、フォールの声が彼女を止めた。
「………本当に独りで行くのか?」
「行きます。」
ドロップは振り向き、揺らぐことがない真っ直ぐな瞳でフォールに答える。
「何があるか解らないんだぞ?」
「解ってます。」
「解ってない。」
「解ってますってば。」
「いや、解ってない。」
解ってると言うドロップに対し、フォールは即答で解っていないと言い返す。
繰り返しても、何度伝えてもどちらも引かなかった。
「……解ってるんだけど…。」
それでも負けじと伝えるドロップに、またフォールは即答する。
「解って…「フォールは相変わらず口下手なんだから。」
けれど、フォールの言葉は途中から笑顔のリムに遮られた。