スノー・ラヴァーズ
+嬉しすぎる涙+
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「晴れてるのに雨が降ってる。」
彼女は不思議そうに空を見上げた。
先程まで、3人で森を歩いていたのだが、雨が降り出したので、雨宿りを始めたのだ。
「ドロップ、そんなところに居たら、雨宿りの意味が無くなるよ。」
お母さんのように言い聴かせるリム。
「はーい。でも…不思議だね。」
彼女はもう一度空を見上げ、木の下に戻ってきて、また呟いた。
「キツネの嫁入りって言うらしいぞ。」
本を読んでいたはずのフォールがボソッと言った。
「キツネの嫁入り?」
聞いたことがない言葉に彼女は聴き返す。
「あぁ。お天気雨のことをな、キツネに化かされたって思ったりして、そう呼ぶところがあるらしい。」
「へー。」
「この辺じゃそうは言わないけどな。」
「ふーん…。」
彼女はまた不思議そうな顔をして空を見上げた。
「誰かが嬉しすぎて泣いてるんだと思ってた…。」
彼女の呟きにフォールは少し考え込む。
「別に…キツネの嫁入りってのは言い伝えみたいなもんだし、この辺は使ってないんだし…。ドロップの考えでいいんじゃないか?」
「そっちの方がなんだかいいしね。」
フォールの言葉にリムもそう付け足す。
3人は空を見上げた。
晴れながら雨の降る空を。
泣いてしまうくらい喜ぶ誰かの事を思って…。