スノー・ラヴァーズ
「あぁ、書庫かい?」
お爺さんはフォールからの突然の質問にニコリと笑い、窓の外を指した。
「書庫ならこの街にある、あの古いお城が全てそうだよ。」
「お城ってもしかして…。」
「そう。お嬢さんの予想通り…昔のお姫様のお城だと噂されている。」
お爺さんは楽しそうに、ちょっと子供のように笑った。
きっと昔を思い出したのだろう。
「わ!じゃあ行ってみようよ!」
「うーん…お爺さん、それは誰でも入れるんですか?」
そのリムの問い掛けに、先程とは違い、お爺さんは複雑な顔を見せた。
「残念ながら、今は鍵が掛かっていてね…。誰も入れないんだ。」
「やっぱり…。」
リムは難しい顔をした。
世の中そんなにうまい話ばかりで出来ているはずがなかった。
「城の入口までは行けるんだがね…。」
「入口か…。」
お爺さんの零した一言にフォールはまた一人、考え事を始めていた。