スノー・ラヴァーズ
「…あ、でも、一つじゃダメなのかな?」
ドロップの手元に有るのは一つだけ。
鍵穴は二つ。
どう考えても鍵は足りないだろう。
「……。」
それでもドロップは諦められないのか、鍵穴にそっと石をはめた。
―カチッ。
「え………?」
彼女が石をはめた瞬間、音が鳴り、同時に扉を覆っていた蔦が形を変え始めた。
「ドロップ…?!」
慌ててリムが寄ってきた頃には蔦がアーチを描き、扉は開いていた。
「開いたみたい?」
「「…………。」」
ドロップの言葉にリムとフォールは思わず顔を見合わせた。
さすが…というべきなのか?
¨彼女¨には本当に昔から驚かされる…二人はそう思っていた。
「せっかく開いたんだから行ってみようよ?」
そう言って、ドロップは一人中へと進み、二人も慌ててドロップの後を追って行った。
…─パタン。
そして、三人を招き入れた扉は、まるで彼女達を護るように、ゆっくりと入口を閉じた。