スノー・ラヴァーズ
蔦の入口から中に入ると、赤い絨毯が敷かれたホールが広がっていた。
それから、正面の壁には星が手を繋いでいるような、優しい絵がかけてある。
外は蔦で覆われていて、誰も中に入ることは出来なかったはずなのに、中の空気は意外と澄んでいた。
蜘蛛の巣も、埃もなく、まるで誰かが住んでいるようだった。
「誰も居ないんだよね?」
「…のはずだけどね。」
誰もいない。
それを証明するかのように、ドロップの声とリムの声だけが静かに響き、他には物音すらしなかった。
「とりあえず…中を見て回る。恐らく危険なモノは居ないし、出ない。もちろん入っては来れない。だから、少し経ったらこのホールに集合で。」
「「え…?」」
いつもは自分からあまり動いたりしないフォールなのだが、それだけ言い残し、既に姿を消していた。
「…フォールどうしたんだろう?」
「…フォールにもやらなきゃいけない事があるんだよ、きっと…。」
首を傾げるドロップに対し、リムは悩んだような笑顔でそう答えた。
「俺もちょっと見てくるよ。ドロップもゆっくり見ておいで?」
それだけ言うと、リムも姿を消した。
(二人ともどうしたんだろう…?)
いつもとは違う二人の様子を不思議に思いながらも、ドロップも探検を開始した。