スノー・ラヴァーズ
「どうしてその名前…。」
「まだ会うべきではなかったな…。」
青年はドロップの問いには答えず、溜息をついた。
そして、そのまま元来た道を戻ろうとしていた。
「待って…!」
「ん?」
ドロップが引き止めると青年は足を止めた。
「なあに?」
「どうしてノアを知ってるの?」
青年はまた一つ溜息をついた。
「俺がザムだから。」
「ザム???」
初めて聞く名前だった。
何度も夢を見ているが、ザムという人は今までドロップの夢に出て来た事はなかった。
「まだ思い出せないでしょ。だって、君は髪の色が違う。」
「髪の色?」
「力を引継ぐ者なら髪の色が金色だから。君は黄土色だ。俺が鍵をかけた扉を開けたから、ノアで間違いはないと思うけど。だからまだ会うべきじゃなかったんだ…。」
青年は最後の方は少し後悔したように呟いた。
確かにドロップの夢に出てくるノアはすごく綺麗な金髪だった。
青年が何者かは解らないけれど、きっと"彼"の事も知っているに違いなかった。
「あの、力ってこれじゃないの?」
ドロップはスノー・ラヴァーズを見せた。
「私、もう一つを探してるの。何か知らない?」
青年はまためんどくさそうに溜息をついた。
「見つけてどうするの?」
「え?」
「だから、見つけてどうするの?」