スノー・ラヴァーズ


"見つけてどうする"
最初にフォールにも言われた事があった。

見つけなければならない。
そうは思うけれど、ドロップの中にはまだ明確な答えが無かった。

「簡単な話じゃないんだ。」

青年は辛そうな顔を見せた。
それは、いつかリムも見せたような、何かを思い出しているような顔にも見えた。

「半端な気持ちなら、忘れる事をオススメするよ。まだ君は力を使えない。解放されていない力なら誰にも使えないから。」

「……。」

「それじゃ。」

何も言わないドロップを見て、青年はもう一度来た道を戻ろうとした。

「……半端な気持ちじゃないよ。」

「え?」

「半端じゃない。」

ドロップの声に青年が振り返ると、驚かずにはいられなかった。
光の反射のせいか、一瞬、ドロップの髪が金髪に見えた。

「私にはやらなきゃいけない事があるの。」

「やらなきゃいけない事?」

「うん。」

「……。」

ドロップの瞳は青年の知る"彼女"そのものだった。

(まだ…早いと思っていたのに…。)

青年は観念したように、また溜息を付いた。
それは少し嬉しそうにも見えた。

「…近くに壁画がある。見てくるといい。」

それだけ言うと青年はそのまま姿を消した。


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