スノー・ラヴァーズ
「行っちゃった…。」
彼が出て行った窓からは優しい風が入ってきている。
緑達も少し嬉しそうな気がする。
だから悪い人じゃないとドロップは思えた。
-コンコンッ
「ドロップ?入るよ?」
その声と同時に扉が開くとリムが居た。
少し心配そうな顔をしている。
「今、他に誰か居た?」
「え…。」
リムは開いている窓から外を見渡し、ドロップを見た。
部屋の中にはドロップしかいない。
見た所、ドロップも怪我はしていない。
「話し声がしたと思ったんだけど?」
リムは笑顔なのに、どこか顔が怖い。
きっと、ドロップを心配しているからだろう。
ドロップは悩んだ。
リム達には話しても大丈夫だと思う。
けれど、ザムと名乗る彼の事をドロップは知らない。
変に話せば余計な心配をかけてしまうかもしれない、そう思っていた。
「大丈夫。」
「本当に?」
いつも優しく信じてくれるリムも今日はひかなかった。
何故なら、リムの先詠みでは今日来訪者があると出ていた。
「本当。」
「……。」
ふう、と一つ溜息をついて、リムはいつもの笑顔を見せた。
「それならいいけど。じゃ、そろそろ戻ろうか。たぶんフォールもそろそろ来るはずだから。」
「うん。」
二人はホールへと向かった。