スノー・ラヴァーズ
「遅い…。」
二人がホールへ戻ると仏頂面のフォールが待ち構えていた。
「フォール、そんな顔ばかりしてるとそんな顔になるよ?」
ドロップは未だにこの顔に困るのに、リムは楽しそうにファールの顔を笑う。
リムの言葉にファールの顔はますます仏頂面。
この二人は本当にいつもこうだ。
「…誰がこんな顔にさせてるんだ?まぁいい…。」
フォールはふうと溜息をついた。
「この先に壁画がある洞窟があるはずだ。そこへ向かう。」
「え…?」
「ドロップ、どうかした?」
リムが不安そうに尋ね、フォールも怪訝そうな顔をしている。
「何でもない…。」
先ほどザムと名乗る青年も言っていた。
この先に壁画があるから見ておいで、と。
青年がドロップを"ノア"だと思って話した壁画をなぜフォールは知っているのかも解らなかった。
「行くぞ。」
戸惑うドロップを置いてフォールはサクサクと歩き出していた。
一度閉じていた城の扉は中からは鍵もなく、簡単に開き、ドロップ達が外に出たのを確認すると、またゆっくりと鍵が掛かった。
「洞窟だ…。」
三人はお城から少し離れた森を歩く事、数時間。
草で生い茂った洞窟を見つけた。
ドロップは青年の話を信じていなかったわけではないが、夢には出て来ない洞窟を不思議そうに見上げた。
洞窟からは少し涼しい風が吹いている。
外側からは何も見えなかった。
「ここに壁画があるの?」
「入れば解るだろ。」
ドロップの問いかけに躊躇う事無くフォールは中へと入って行く。
慌ててドロップとリムもそれを追いかけて行った。