スノー・ラヴァーズ


壁画の絵をもう一度よく見ると、争いの絵の中の滴から小さな光が伸びている。
その光を追うと、洞窟らしきものがあった。

洞窟の前には草原色の人らしきものが鍵を持っていた。
洞窟の入口を塞ぎ、争いを見つめているようにも見える。

その隣には二つの滴に黄色の人らしきものが祈っている絵があった。

(…ここまで本当の事なんだ…。)

祈りの絵の隣には綺麗な景色が広がっていた。
人らしきものも争いなどせず、皆で助け合っているように見える。

けれど。

祈りを捧げていた黄色の人らしきものは隅で横になっていた。


「ここまで知っていたんだね。」


三人が壁画を見ていると聞き覚えがある声がした。
声の主を確認すると、先程お城の事を教えてくれたお店のお爺さんだった。

思わず、フォールとリムはドロップの前に出る。

「ははは。そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。」

お爺さんは笑顔を見せる。
それでもフォールとリムはその場所を動かなかった。
お城の存在まで知り、洞窟にまで現れる。
明らかにただの店主というだけではないだろう。


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