スノー・ラヴァーズ
「お爺さん、どうしてここに?」
リムは警戒したまま、作った笑顔を見せる。
頭の中はどう逃げるか、どうするのが最良か、考えを巡らせていた。
「そこの黒い髪の彼が鍵の仕組みを知っていた。だからきっと洞窟へも寄るんだろうと思ってね。入口で待っていたんだよ。」
先程と口調は変わらないのに、目は笑っていない。
良い人そうに見えただけだった。
「俺は爺さんに用はない。」
フォールもお爺さんを睨んだまま、言い放つ。
「私はあるんだよ。」
そう言いながらお爺さんは一歩、三人に近付いた。
「手荒な真似はしたくないんだ。」
そう言いながら、また一歩、お爺さんは近付いてくる。
お爺さんが近付くたび、三人は後ろへ下がっていく。
(……ちっ。)
さすがのフォールも何も思い付かない。
剣技なんてしばらくやっていない。
幸い相手は一人だ。
極力戦いは避けたいが、そうも言っていられないだろう。
フォールは見つからないように、隠した剣に手を伸ばした。
「お爺さんの用は何ですか?」
それまで黙っていたドロップは急に二人を押しやって前に出た。
「バカやろう!」
「ドロップ?!」
さすがの二人も、お爺さんでさえ、ドロップの行動には驚いていた。
「お爺さんは何がしたいの?」
ドロップは二人を無視して、もう一度お爺さんに投げかけた。