スノー・ラヴァーズ


「この石ね、使うと、そこの黄色い子みたいになっちゃうんだよ。」

ドロップは真っすぐ壁画を指差した。
そこには黄色い人のようなものが祈りを捧げた後、横になっている絵が描かれていた。

「お爺さんの願いは命を落としてまで叶えたい事?」

お爺さんはドロップと壁画を交互に見ながら戸惑っていた。

店に来た旅人はそんなことは何も言っていなかった。
だから、その話は信じがたい。
けれども、ドロップは嘘をついているように見えない。
しかも壁画にも描かれている。

きっと、お爺さんの願い事は命あってのものなのだろう。
それまで伸ばしていた手から一瞬、力が抜けた。

お爺さんに出来た一瞬の隙、それをフォールとリムは見逃さなかった。

「うぁ!!」

お爺さんの腕をリムが掴み、それをフォールが縛りあげた。
二人は昔から一緒に行動しているだけあって、動きに無駄がなく、打ち合わせ無しの行動にお爺さんは何もできなかった。

「悪いな、爺さん。」

「俺達も捕まるわけにはいかないからね。」

サクッと言い放つフォールと笑っているのに笑っていないリムはパンパンと腕を払った。
お爺さんは悔しそうに下を見た。


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