スノー・ラヴァーズ
三人はお爺さんを縛り上げた後、街に戻っては危険と判断し、街から少し離れた所で休んでいた。
「リム、ちょっといいか…?」
ドロップはすでに夢の中。
寝ていたはずのフォールは火の番をしていたリムに声をかけた。
「どうかしたの?」
起きているのに気付いていたのか特に驚きもしないリムはいつもの笑顔をフォールに向ける。
「ドロップが爺さんに話していた話…本当なのか?」
「……。」
フォールの真剣な様子にリムは笑顔を一瞬消したけれど、またすぐいつもの笑顔を見せた。
「何の話?」
「…誤魔化すな。」
フォールの瞳は真剣だった。
「…俺は…最期を知らない。お前は知っているはずだろう。」
「……。」
リムはフォールから視線を外し、火を見つめた。
確かにリムは最期を知っていた。
けれど、それをフォールに話した事も、話す気も無かった。
何故なら…話してしまえば、きっと彼が後悔するのだろう…と思っていた。
「知らない…とは言わせない。」
黙り込むリムにフォールはもう一言付け加えた。
フォールは昔、リムに後を託している。
だから「知らない」とはリムも言えなかった。
「知らない…。まだ夢に見てないんだ…。」
それでもリムは譲らなかった。
譲れなかった。
だから…嘘を付いた。
「……そうか。」
フォールはリムの言葉に納得のいかないような顔も見せた。
けれど。
リムが知らないで通すのならば、これ以上聴く事は出来なかった。