スノー・ラヴァーズ
(あ……。)
ドロップは肝心な所で目が覚めてしまった…と思った。
けれど。
彼女はその続きを別の夢で知っていた。
それは哀しい現実だった。
ノアはそれを良しとしていたけれど、ドロップはノアの選んだ答えが良いとは思えなかった。
きっと、ドロップなら違う方法を選ぶ…彼女はそう思っていた。
ドロップがまだ夢から覚めないでいると、不意に声がした。
「眠れないのか?」
声の方を見ると、火の番を交代したフォールがドロップを心配そうに見ていた。
「ううん。ちょっと起きただけ。フォールは火の番?」
ドロップは起きたての目を擦りながらフォールの横に座った。
「あぁ。さっきリムと代った。」
「そうなんだ。」
星夜の中、会話はそれっきり。
二人はしばらく静かに火を見つめていた。
どれくらい時間が経ったのだろう。
火が少しだけ小さくなった頃、薪を足しながら、フォールはぽつんと話し始めた。
「最初にも聴いたけど…ドロップはもう一つの石を見つけたらどうしたいんだ?」
「え…。」
突然の問い掛けにドロップは一瞬戸惑った。
頭の中では夢の事を考えていたし、フォールから石の話をする事は今までなかった。
それどころか、ドロップが聴いても答えてくれる事もなかった。
「石を見つけたら…どうするんだ?」
フォールはもう一度聴いた。
彼の瞳は優しいけれど、少し哀しい色をしていた。