スノー・ラヴァーズ


「……どうしたいんだろう…。」

ドロップはフォールから視線を外し、火を見つめながら答えた。

「本当は…まだ、答え、見つけてないの。」

ドロップは夢を見ていた。

夢を見たからこそ、遠い昔出逢った大切な人にもう一度惹かれた。
夢を見たからこそ、同じ哀しみは繰り返したくない…そう願い、旅を始めた。

けれど。

どうすれば同じ哀しみが繰り返されないのか…まだ方法を見つけられなかった。
きっと、それがやらなければならない事なんだ、と思っていた。

「もしも…。」

ドロップの答えを待っていたはずのフォールが不意に呟いた。

「もしも…ブロッサム・ラヴァ―ズの持ち主が…この世に居なかったらどうするんだ?」

「え……?」

ドロップは時間が止まった。
哀しみを繰り返さないように…と願っていたのに。
逢えると思っていたのに。
この世に居ないのでは、ドロップにはどうする事も出来ない。

「もしもの話だ…。まだ彼は生きている。」

フォールはドロップの表情を見て、言葉が悪かった事を悟り、そう言いなおした。

「なんだ…。」

ドロップは胸を撫で下ろした。
それから笑顔をフォールへ向けた。

「それなら…この世に居なくなってから考える。」

「……答えになってないぞ。」

「なってるよ。だって、私が持ち主に逢えたら、そんな事させないもん。」

「………。」

ドロップの言う"そんな事"はきっと過去に起きた事を指しているのだろう。
フォールは言葉を失くした。

ドロップは、きっと"彼女"より強いのだろう。


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