(KK2)流線形のキセキ


 神風隊などの特別攻撃隊が敵国の戦艦に向かって機体を突撃させるのとは違い、迅天隊は爆撃機への突撃である。


 B-29のような爆撃機が本土に攻め入って来たときに迎撃するのが目的なのだ。


 しかし迎撃するのに充分な高度を保つことの出来る機体はそうそうなく、さらにB-29の防弾装備は厚いうえに速さは戦闘機並み。


 それ故、武装や防弾装備すらない、軽量化された機体をぶつけるという戦法が用いられることとなった。


 高度な操縦技術が要求されるため、操縦者になれるものは多くない。

 そのため機体をぶつけるより前に脱出して生存することを期待されている。
生存率も対戦艦の特別攻撃隊のそれよりは高い。

 出撃時には死を覚悟しておかなければならないのは、他の隊と同様だ。


 自分にその覚悟はあると信じていた、いや、あると思い込んでいた。
両親に話せないのも、両親をおもんばかってのことであると思っていた。


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