(KK2)流線形のキセキ
困惑した想いを抱えたまま、周りの者の後を追うようにして指定された場所へと向かう。
寄宿舎を出ればそこは白浜の続く海岸線で、晴れていればきっと磯の香りが漂うに違いなかった。
今は雨の匂いが強く鼻に突き刺さる。
濡れた砂は重たそうに、弾くことの出来ない雨をその身に受け、八つ当たり気味にざりざりと足にまとわりつく。
かかる雨もそのままに、砂に足をとられながら、一ヶ所に集まる皆のもとへと駆け寄る。
人だかりとなったその中心に、原田少佐が見えた。
原田少佐の他に二人の上官もそこにいて、三人で訓練の指導にあたるようだ。
上官三人は僕らと違い、黒い傘をさしていた。