(KK2)流線形のキセキ
隊歌が終わると、原田少佐は表情を変えることなく頷いた。
少佐の頷きは及第点であったということだろう。
ほっとしたのも束の間、これから訓練が始まるはずだ。
新入りの僕がいるから訓練内容を説明するという気遣いなんてされるはずもなく、これから何をどうすれば良いのかという説明もない。
周りの者たちも動く気配はないので、まだ何かするわけではないらしい。
兆候を見逃すまいと、気を張り詰めて立っていると、「坂下!」と原田少佐が僕の名を呼んだ。
突如指名され、心臓が跳ね上がるくらい吃驚した。
そしてその後の言葉で更に驚く。
「お前、鬼をやれ」