(KK2)流線形のキセキ


 鬼、というからには、鬼ごっこか何かをするということなのだろうか。
制空隊が、鬼ごっこ?


 僕が困惑したのが伝わったのか、それとも返事の声が小さかったりでもしたのか、原田少佐は不愉快そうにぴくと片眉をひくつかせた。


 それでも新入りだということを思い出したらしく、面倒くさそうに視線を動かす。
その視線は湯川君で止まった。


「湯川、説明してやれ」

 それだけ言ってさっさと段から降り、歩いて行ってしまう。


 すると少し離れたところに雨避けのひさしがあり、その下に椅子が並べられていた。

 原田少佐はこちら向きになって、そこに腰掛けた。

 隊歌の前に離れた他の上官たちは既にそこに座り、こちらを見ていた。


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