(KK2)流線形のキセキ
原田少佐が離れたのを合図にしたかのように、ぱらぱらと列が崩れ、その中からにょきっと湯川君が僕の前に足を運ぶ。
雨足も少し弱まってきて、大声でなくとも充分に聞こえるというのに、日頃号令をかけているからだろうか。湯川君は地鳴るような声で話しだした。
「友鬼、という鬼ごっこはわかるかな?
手繋ぎ鬼とも言うようだけど、鬼に捕まった者も鬼になり、どんどん手を繋いでいく。
だが、手を繋ぐと一人で走るよりも遅くなるだろう?
だから、四人になったら二人ずつに分裂する。
ここまではいいかい?」
僕が得心したと頷いたのを見て、湯川君は僕よりも数段高い身長に見合う長い腕をすいっと水平に伸ばした。
そして一ヶ所を指差しながら、口を開いた。