(KK2)流線形のキセキ


「捕まえたぞ!」


 はっと意識を戻すと、僕の手を引きながら懸命に駆け回っていたらしい彼が、真っ赤な顔をしてぜいぜいと息を吐きながら、その手に一人の男子の腕を掴んでいた。


 考え事をしながら走って、転ばなかったのが不思議だ。


 捕まえられてしまった男子は悔しがる風でもなく、仕方ないなと達観した様子で手を繋いだ。


 三人で追いかけるとなると、今以上に走りにくくなるだろう。


 少しげんなりした僕の表情が見えたのか、捕まったばかりの男子が僕を見て笑った。


「そう辛気くさい顔をするな。
三人繋がった鬼は面白いぞ」


 確かに端からみたら滑稽かもしれない。
わたわたと追いかける様を想像し、苦笑を洩らした。


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