(KK2)流線形のキセキ


 その手をとった武藤は、もう片方の手を離した。


「これで少しは面白くなるだろ」
という武藤の言葉にようやっと僕は、武藤はわざと僕らに捕まったのだと思い当たった。


 僕ら二人だけでは埒があかないと、自ら捕まったのか。


 それはそれで憤慨する気にならないのはきっと、彼が僕らの能力を低く見ているわけではなく、ただ競技としてどういう思考や行動をすれば結果がついてくるのかというようなことを教え、気付かせてくれたからだ。


 捕まったときの『仕方ないな』という表情は、その辺りが起因していたのかもしれない。


恩を着せるような風もなく、ただ純粋に教えてくれた武藤に、僕は心の中で感謝した。


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