(KK2)流線形のキセキ
鬼籍
それはふいに鳴り響いた、敵襲を報せる合図で終わりを告げた。
宿舎に備え付けられた拡声器から、入り乱れた雑音と共に、辺り一帯に響き渡る。
皆は繋いでいた手を離し、緊張した面持ちで上官からの命令を待った。
勿論僕も例外ではなく、報せにより一時(いっとき)跳ねた心臓が、速き鼓動を奏でておさまらない。
冷たく流れる汗は、鬼ごっこでかいたものなのか、報せでどっと滲んだものなのか、わからなかった。
出撃するのだろうかという不安と期待が、ないまぜになって僕に襲いかかる。
祈るような気持ちで、上官たちの指示を待った。