(KK2)流線形のキセキ
時計を見ると、まだ起床するには早い。
普段なら、前日の過酷な訓練のせいで、起床時間まで泥のように眠るのに。この雨音で目が醒めてしまったのだろうか。
それとも、迅天隊への異動初日ということからの緊張と不安からだろうか。
恐らく両方であり尚且つ他にも理由はあるのだろうが、後者の方がより近い位置にあるような気がした。
起床時間の数分前、僕が布団から抜け出し、てきぱきと寝具を畳んでいる間に同室の者たちも目覚めた。
片し終えると点呼に備えて一列に並ぶ。
お世辞にも快適とは言えない狭い部屋に、僕を含めて八名の男子。
皆一様に直立不動で、目前の空(くう)を睨み付けるかのようなきりりとした表情は皆、迅天隊を名乗るに充分な貫禄を醸し出していた。