(KK2)流線形のキセキ


 死地に向かった仲間のうち二人が、そのまま基地に帰って来ることはなかった。

 彼らは意地をかけてB-29の撃墜に成功していた。


 待機していた他の四名は出撃を免れ、複雑な顔をしていた。


 その気持ちはとても良くわかった。

 今回は出撃しなかったとはいえ、それは偶々であり、いつ何時次なる敵機が来るかもわからない。

 それに寝食を共にした仲間が二人も欠けてしまった。

 撃墜は喜ばしいことではあったが、それが仲間の命と引き換えだというのは、痛ましい。

 だが英雄となった仲間が羨ましくもある。


 言い知れぬ不安がつきまとい、そんな自分に腹立たしさを覚える。


 色々な激情が次々に浮かんでは消え、心は複雑だった。


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