(KK2)流線形のキセキ
そんな爆弾の話を聞いた夜、僕はなんとなく眠れなくて、そっと布団から這い出した。
窓からはぼんやりと月の光が溢れ、薄暗い部屋の中をそっと照らしている。
蒸し暑い夜だったけれど、寝静まった部屋は規則正しい寝息だけが支配していた。
いつもなら五月蝿いくらいの鼾の合唱すら、今夜は聞こえてこない。
違和感を感じつつも、もしかしたら皆本当は眠れなくて、布団の中でじっとしているだけなのかもしれない、などと思った。
勿論そんな筈はないのだけれど。
僕は隊規を破ることを覚悟の上で、部屋からそっと抜け出した。
そして僕らが命を預ける機体が収納されている格納庫へと、その足を向けた。