(KK2)流線形のキセキ
「なんだか無性に飲みたい気分なんだ。付き合ってくれるよね?」
微笑む湯川君。
僕に断る理由はない。
機体の前に車座になり、水の入った瓶を回し飲みをする。
酔った振りをし、互いにくだを巻く。
湯川君も武藤も、珍しく野田も、演技と思えないくらいに没頭していた。
素面なのにぐでぐでと骨がなくなったような動きと、呂律の回らなくなった不明瞭な言葉はひどく馬鹿馬鹿しくて滑稽だけれど。
気づけばいつしか、四人とも泣いていた。
声を上げず、涙も流さず。
ただ肩を震わせて、時々腕で目を擦りながら、嗚咽すら洩らさずに。
何の涙かはわからなかったけれど、それはきっと同じ涙だった。