(KK2)流線形のキセキ
誰もが無言のまま時間だけが過ぎ、格納庫の窓から見える空が白みかけてきた。
「……戻ろうか」
湯川君の言葉を合図に、僕らは立ち上がる。
部屋に戻って、仮眠を取るためにもそもそと布団に身を横たえた。
腫れぼったい目を瞑り、そっと手で覆うとじんわりとしたぬくもりが伝わってきて、気持ち良かった。
いつしかうとうとと寝入ってしまい、耳をつんざくようなけたたましい大音声で目が醒めた。
そしてその後、原田少佐の声で呼ばれた自らの名に、うっすらと笑みが浮かぶ。
同室の者たちの言葉に適当に合わせて返事をしながら、素早く軍服に着替える。
他に呼ばれたのは、奇しくも朝まで共に膝を寄せあっていたあの面々だった。
彼らと飛べるなら、悪くない──
ぴっと軍服の裾を張り、集合場所へと急いだ。