(KK2)流線形のキセキ


 点呼が終わって部屋の清掃をしていると、上官である原田少佐が点検に回って来た。


 通常ならば、清掃の様子や状態を点検するだけにとどまるのだが、なぜか新入りの僕に声を掛けてきた。


 着古されてはいるがぴしっとした軍服に、原田少佐の真っ直ぐな性格が如実に現れているような気がする。


 深いしわが表情をより一層いかつく見せ、ぎろぎろした力強い瞳と制帽から覗く白髪混じりの短髪に、叩き上げの軍人という印象を受けた。


 緊張で裏返りそうな声をなんとか宥め、細心の注意を払って快活な返事を心掛け、それはなんとか成功した。


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