(KK2)流線形のキセキ


 叫ぶと同時に、機外に放り出される感覚があった。


 落下傘の開く紐を引くと、大きな音と衝撃のあと、無事に開いた傘にゆらゆらとぶら下がる。


 どさりと地面に倒れ込む感覚がして、慌てて空を見上げると、僕の乗っていた屍龍が胴体に刺さったB-29が墜落していくのが見えた。


 他は煙でよく見えない。


 だが煙と地面の間を、白い落下傘が落ちていくのが見えて安堵する。


──ひとつ、ふたつ……

「……っ!!」


 三つ目の落下傘が、開いていない。


「だ、誰だ……誰のだっ……!!」


 荒げた声に応えてくれるものなど勿論誰もいなくて、焦る心と重なるかのように、落下傘が開かないまま加速していく。


 走り出した僕を嘲笑うかのように、それは地面に叩きつけられたかに見えた。


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