(KK2)流線形のキセキ
野田がここにいるということは、武藤か湯川君か……
ぎり、と握り締めた拳が真っ白になって、僕はそれを布団に何度も叩きつけた。
「あ、あの……」
「なんだっ」
あたふたとした野田に、彼が悪いわけじゃないのについ声を張り上げると、野田の後ろからひょこりと湯川君が顔を出した。
「まあまあ落ち着いて」
「湯川君……」
──あの落下傘は武藤だったのか……
言い知れない寂しさが襲いかかる前兆がしたその時。
「おー、起きたか」
のんびりとした武藤の声に、僕の思考は止まった。