HARU
部室内にいた全員が静まり返る。
(あれ、なんか重い雰囲気…?)
その重い雰囲気の中、最初に声を出したのはキャプテン、堤さん。
「秋月さんのことはある程度知ってる。全中で優秀選手にも選ばれてたよね?〈月刊バスケ〉にも何度か特集されてたし。それほどの実力がある人が、なんでマネージャーなの?桃栗高には女バスがないことは知ってた?」
〈月刊バスケ〉とは、中高生のバスケの情報雑誌で、優秀な選手の特集を組んだり、試合結果を専門家がわかりやすく解説したりしている。バスケに携わる若者の二人に一人は愛読しているほど、その人気は高い。
「…はい、もちろん知ってます。」
「じゃあ、どうして…」
…………。
しばらく、部室内は沈黙が続く。
「…体調を崩して、ヒカリナ高の推薦が取り消しになったことは、聞いたことがある。」
この声は・・・