HARU
いつしかその人気ぶりから”沙和姫”という愛称で親しまれるようになった。
全中ではキャプテンを務め、優勝に導き、またプレイ姿も評価され、優秀選手に選ばれた。
日本の女性初のNBA選手に選ばれるのでは?と評価する専門家もいたほど、沙和の才能は輝き、魅了されていった。
沙和は心からバスケが好きだった。
日に日に上達していくのが楽しくてしょうがなかった。
友達と遊ぶことよりも、バスケの練習を優先していた。
学校に行き、部活をし、部活がない休日は試合観戦に行くか、練習をするか、とにかく沙和はバスケをすることが全てだったのだ。
それなのに…
神様は残酷だ。
沙和の右足は原因不明の難病で、現在日本では治療法がない。
日常生活を送る上での支障はないため、激しい運動をしない限りは普通に暮らすことは出来る。
しかしバスケ中心だった沙和の生活に
〈バスケをすることは難しい〉と宣告された沙和の思いは、どれほどつらいものだったのか…